俺は幼稚園の頃三半規管が弱くて、体調が悪いとまっすぐ歩けなかったんだ。
ひどい時だと廊下蛇行しながら歩いてた。
そこまでひどいと日常的に耳鳴りがヤバかった。

ある日、いろんな声が混ざって聞こえてくることに気がついた。
ガヤガヤしてて、男や女や子供の声がいっぱい聞こえた。

「おい」とか「ねぇ」とか呼びかけられて、名前も呼ばれた。
よく返事しては、誰も呼んでないって先生に言われた。

ある日、みんなで喋りながら砂場でトンネル作ってた。
夕暮れ時まで必死で作ってて気が付いた。
俺以外全員、途中から部屋で歌をうたってた。
たぶん、途中から砂場で喋ってたのは耳鳴りの人たちだと思う。