小学生の頃、夜ふと目覚め、隣(1メートル位先)に寝ている母親の頭部のあたりにぼんやりと視線を向けた。
真っ暗闇の中に慣れない視界のせいであろう。
次の瞬間、母の頭部が向こう側を向いているのかそれともこっちを向いているのか、わからないことに気づいた。

異様な緊張を覚えつつ、その真実を確かめたい衝動に駆られた。
私は母の頭部の在るであろう暗闇の1部をじっと凝視した。

だんだんと、暗闇に目が慣れてきた・・・。

と、次の瞬間だった。
向こうを向いていた母の白い顔が、物凄い勢いで、ギュルン!!とこっちを向いたのだ。

!!!・・・。

恐怖を感じ、慌てて布団を被り、そしてそのまま真実を確認することなく朝を迎えた。
幻覚だろうが、恐ろしかった。

ちなみに今現在視力の悪い私は、たまに裸眼で夜道を歩くことなどがあると、同じ原理で、ややはるか前方に確認できる人物がこっちにむかって歩いてくるのか向こうにむかって歩いているのかわからない!という状態になる。

それも妙に恐い。