友人の話。

彼の家は新興の大きな団地で、開けた山の中腹に在る。
家から少しの所に小さな公園が作られており、よく散歩に出かけるのだそうだ。
彼曰く、そこの少し寂れた情景が好きなのだと。

ある黄昏時、いつものように公園で一人佇んでいると、すぐ横をタタタッと、まるで幼子が駆けていくような音がした。
音がしなくなると同時に、シーソーが独りでに動き始める。
じょじょにシーソーの動きは速くなって行き、やがて信じられないくらい激しいものになった。

ガンガンガンガンガンガンガン・・・。

我に返った彼は、シーソーの上にいる何かが降りてこない内に退散することにした。
できるだけ静かに、足音を殺して。

彼は今でもその散歩を欠かさないが、同様な体験をもう一回だけしているという。
その時に何かが遊んでいたのは、ブランコだったそうだ。