たぶん去年の10月から11月頃の話。

俺は田舎の運送関係で働いてて毎日朝5時に家を出る。
日が昇ってない道はたまーに車が通るくらいで、通行人って言ってもランニングかウォーキングか通勤中のリーマン2、3人とすれ違うかどうかくらい。
いつもみたいに片道15分の距離をチャリで走ってたら、中間地点くらいにある交差点で気味の悪い奴を見た。

歩道に白い人間みたいな塊がぼーっと浮かんでて、俺と同じ進行方向に向かって歩いてる(動いてる?)のが解った。

はっきりとはしてないが人だって解る程度の塊で(人間にしたら160センチくらいで、髪の毛と肩っぽく見える境目があった)、全体的に着てるものを引きずってるみたいな動きだった。

俺はそいつを見た瞬間「やばい」と思ったけど、とっさにブレーキをかけることが出来なくてその塊をチャリで追い抜いてしまった。

たぶん、そいつを見つけてから追い抜くまで距離にしたら5メートルくらいの間で起こったことだと思う。

信号機の側でやっとブレーキをかけて振り返ったら、その白い塊は歩道から消えていなくなってた。

最初は変なやつがいたのかな?って思ったくらいだったけど、そいつが消えた(と思う)場所はフェンスで囲まれた営業してるか解らない石屋しかなくて、人間が入り込んだり隠れたり出来る場所なんてなかった。

その白い塊を見たのは、今のところそれが最初で最後。