少し前、友人に誘われ遊び半分で地元でそこそこ有名なホラースポットに行きました。
そこでは特に何も起こらなかったのですが、帰る時に肩が重く感じたりして怖くなりすぐに自宅へと帰りました。

それからと言うもの、部屋で急にバンッと大きな音がしたり、刃物で何かを切るような独特の嫌な音がしたりして、不安な思いを抱えながらいつも通り会社へ行っていました。

その途中、やけに綺麗な女の子(以下Aちゃんと呼びます)を見かけました。
Aちゃんは白いシャツに黒いリボンタイ、膝までの黒いフレアスカートの白黒な服装が印象的で自然と目で追っていたらいきなり私の方を見て声をかけてきました。

Aちゃん「・・・いきなり不躾ですみません、お時間ありますか?」

私「はあ・・・◯時までなら・・・」

Aちゃん「じゃあちょっとあそこの公園で・・・」

家に長く居たくなかったので早めに出ていたので了承すると、Aちゃんが公園のベンチで話を・・・と言ってきました。

正直このAちゃん、可愛らしいけれど服装が中二病ぽいし良いとこのお嬢さん感があったからからかわれているのかなとも思ったけれど話を聞いてみることに。

Aちゃん「またいきなりで申し訳ないんですが・・・貴方どこか変な所行きました?」

私「変な所?」

Aちゃん「あー・・・えっと、何か身の回りでおかしいこと起きてません?いわゆる霊的な物みたいなこと」

私「えっ」

いきなり何言い出すんだと思ったのと見透かされてるようで恐ろしかったのが半々で、そう思うと何だかAちゃんが奇妙に思えて思わず怪訝そうな顔になってしまいました。

Aちゃん「あ、別に怪しい勧誘だのお金くれくれ詐欺とかじゃないんで安心して下さい」

慌ててそういうAちゃんに人間味を感じでちょっと安心しました。
安心した所でホラースポットに遊び半分で行ってしまったこと、身の回りで不可解なことが起きていることを説明するとどんどんAちゃんの顔が険しくなっていきました。

Aちゃん「お姉さん、そういう場所は遊び半分で行く場所では無いんですよ。・・・」

私「すいません・・・。・・・あの?」

私の方を見てジッと何かを見つめているAちゃん。
初めは怒って睨んでいるのかな、と思ったけれど余りにも長いし睨んでいるわけでも無い目で見られててちょっと怖かったので声をかけました。
そうするととんでもない返答が返ってきました。

Aちゃん「刃物・・・、包丁・・・じゃない。・・・ハサミ?・・・お姉さん、ハサミに今日気を付けた方が良いと思います」

私「え?」

Aちゃん「会社行って、帰ってから友人か誰かと一緒にいた方が良いと思います。ハサミ、気をつけて下さい」

始終訳が分からないまま何の説明もなく話を終わらせられて「時間ですね」と言って何事も無かったようにのんびりした足取りで歩いて行きました。

正直疑問しかなくて、でも会社に行かなければいけない時間だったのは本当だったので急いで会社に向かいました。

何事もなく、なんとなくAちゃんの言葉が気になって友人を泊まらせることに。
朝の公園でのことを友人に話しても「そんな馬鹿な!中二病の子じゃん!」と、相手にはして貰えず・・・、然しAちゃんが正しかったと思うのにそう時間はかかりませんでした。

友人「何か変な音しない・・・?」

私「・・・刃物・・・いつもの音・・・」

友人「じゃあ、Aちゃんって子が言ってたのが本当ならこれ・・・ハサミの音・・・?」

ゾワッと鳥肌が立ちながらも少しずつ近づいてくるような音に怯えながら心で「ごめんなさい、ごめんなさい」と謝罪を続けていました。

怖さのあまり膝を抱えて顔を俯けていると友人の叫び声が聞こえて顔をあげました。
そこには空中に浮かんだ赤い持ち手のどこにでもあるハサミが・・・。
信じられない思いで見ていると私に向かってハサミが飛んできます。

避けられないと思って蹲ると、そのハサミが突然床に落ちたので大事になることはありませんでした。

その夜は友人と震えながら一緒に無理やり明るい話をして過ごしました。
朝になるとAちゃんが居ないかと公園で2人で待っているとやはり昨日と同じ服装、同じ持ち物のAちゃんが通りかかりました。

私「あの、待ってください!昨日の事何ですけど!」

Aちゃん「あ、大丈夫でした?ならもう大丈夫ですよ、危なかったの昨日だけですから。いやー、危なかったですねぇ」

なんてほのぼのした顔と声で言う。

私「何で分かったんですか?」

そう聞いてみると、Aちゃんは本当にゾッとするくらい綺麗な無表情で「ほら、私中二病ですから。・・・たぶんそういうの分かるって設定なんですよ。・・・偶然ですよ、全部」

そう言って「さようならー」と去っていくAちゃんを呼び止められずに少しでも中二病だと思っていた私と友人は余りのことに驚いてしまいました。
慌てて追いかけようとするとAちゃんの姿はどこにもありませんでした。

後から聞いた話によるとそんな女の子はこの区域ではおらず、近くの宿でも宿泊していなかったそうです。

今思えば年齢は高校生にも見えて22歳位にも見える。
本当に年齢不詳かつ人間らしく無かったAちゃんは一体何者だったんでしょうか・・・。

助けてくれたのが、凄く嬉しかったですがそれと同時に凄く不思議な体験でした。