俺の家に人形がある。
幼児の姿をした人形で年齢は2歳くらい。

かなり昔に作られたようで(たぶん昭和30年代くらい)、現在売られているかわいらしさを前面に打ち出している人形と違いリアルに作られていて、髪の毛は微妙に揃ってなく、目は透き通ったプラスチックで出来ていた。
口は少し開き舌の部分がが少し見えていものだった。

全身はセルロイド?で出来ていてくすんだエンジ色のツナギのようなベビー服を着ている。
俺が物心ついた時から家にあったのだが、不思議に思い聞いてみると誰もこの人形をもらったり、買ったりした覚えがないそうだ。

この人形は俺が成長するにつれて押入れにしまい、忘れられていたのだが・・・。

ある夜俺が机に向かっていた時のこと、背後にある押入れから急に「ガタッガタガタッ」と音がなり響いた。

俺は何事が起こったのかと思い恐る恐る、ほんの少しだけ押入れを開けてみた。

その途端、「オギャー、オギャー!」という泣き声とともに人形が顔を出してきたのだ。
俺はかなりビビリまくっていたのだが、押入れを思い切ってガラッと開けてみると、人形がコトッと倒れた。

俺は「なんだ、なんかの振動で押入れの中で崩れてきたんだな」と思い人形を持ち上げてからあることに気づいてしまったのだ。

その人形の中は空洞になっていて、泣き声をだす機能なんか付いてないことに・・・。