母「お父さんが、今日、神保町のトイレで思いがけない人に会ったらいのよー」

私「誰?」

母「かっちゃんだって!五年ぶりに偶然!しかも移動中に、たまたま入った神保町のトイレ!懐かしいね。でもスゴく老け込んでて、やせちゃってね、最初全くわかんなかったって・・。かっちゃん、いま糖尿病らしいんだ・・・」

ビックリした。

昨日の昼間、私はなぜかなんとなくフッと、勝山さん(仮名)、元気かな?
死んだとかなってなきゃいいけど・・死んだとかいきなり情報入ったら嫌だな・・・って、なぜだか知らんが、フッと不謹慎にも感じていた。

頭にスッて入ってきた感じの予感みたいなものだった。
父の元同僚で、会社ぐるみで昔、よく会社の家族で保養所に海水浴に行ったんだ。
その大勢の中の一人のオジチャンだった。

父と勝山さんは仲良かったが、勝山さんが、会社を退社してから父とも疎遠になっていた。
虫のしらせ?といったら、かなり大げさだが、なんかあんまり嬉しくない偶然だった。

あともういっこ10年くらい前。
私と姉は長年ピアノを習ってた。

レッスンに熱心な姉が、「私、レッスン行きたくないな。先生が盲腸になってお休みにならないかな?」と不謹慎にも発言した。
真面目な姉なのに、すごく珍しい。

すると、家電が鳴った。
家は、セールスや間違いが多いから基本的に留守電にしている。

『あの・・・大変申し訳ありません。わたくし、この度、盲腸になり、入院しますので・・レッスンはお休みにさせて下さい・・・』

・・・か細い先生の声。

私と姉は、目を合わせ絶句した。

ただの偶然とはいえ、タイミングも良すぎて、ゾクッとした。

先生の心細そうな、小さな声も怖かった。
姉も、軽はずみで失礼な発言をしたことを悔いていた。