職場の4人で街の一画にある居酒屋で飲んでた。

その中に「昔、霊感があったよ」って言う奴がいて、ほろ酔い加減になった頃、「変なのいるから祓ってあげる」とか言い、先輩に変なこと(拍手?)をした。

その時は別に何も起きなかったんだけど、数分後、奴は汗だらけになって、夏だったのに震えだした。
あまりにも様子がやばかったので、飲み会を切り上げ帰ろうとしたら、「水と紙コップをたくさん用意して」と奴は切羽詰った表情で言い出した。

事情が呑み込めなかったけど、ある先輩が「コンビニいって買って来い」と、俺とあと一人に命令した。

ほんでもってダッシュで買いに行き店に戻ると、「これじゃ足りない」なんていう始末。
今度は俺一人でコンビニ行って、店に戻ると仲間はみんな出た後。

仲間を探すため店から出ると、道端にコップがあることに気づいた。
奴の仕業としか考えられなかったので、他のコップを探していると、奴は道端でコップに水を注いでいた。
2本買ったペットボトルの水はもうあと少しで無くなりそうだった。

「◯◯さん、これでいいすか」

俺は3本のペットボトルを差し出し声をかけた。
戦々恐々という表情があるならこの時の奴の顔だろう、目線があった時は死にそうな顔をしてた。

俺の手からビニール袋ごと奪うと、「ありがとう。◯◯神社ってどっち」と聞いてきたので、「表通りを駅に向かえばOKですよ」と言うと、コップに水を注ぎ始めた。

一人にするわけにもいかないので奴の奇行と一緒にいると、先輩2人が水を片手に戻ってきた。

俺は「遅いぞ!」と先輩に怒られ、店に奴のバッグを忘れていることを伝えられ、店に戻ることになった。

バッグを取り、神社へ向かう途中、コップをいくつか見つけたのだけれど、なぜか少なくなったり、中身が空っぽになったものがあったりした。
※別にコップが倒れてたわけではない。

(変だな~)

そう思い、水の入ったコップを見ていると携帯が鳴り、応じると先輩が『早くこい!』って。

電話を切って、もう一度コップを見たら水が無くなってたw
感の悪いおいらでも、なんかヤバ~な状況はわかったので、急いで神社へ向かいタクシーで帰りましたとさ。

後日、水の買出しを指示した先輩に尋ねたら、過去に奴と同じ事務所にいたことがあって、現場から戻った先輩の具合が悪くなり休んでいるときに、奴が水を持ってきた。
奴の言うように飲んだら体調が元に戻ったことがあったので、奴の状態が理解できたらしい。
ちなみに当時は霊感があるなんて公言してなかったそうだ。

霊感が無くなったから喜んで口に出したのだけど、転勤してきてまた霊感が戻ったんじゃないかって。