若い時デ◯ヘルのドライバーをやってた。

指名が入った女の子を指定のホテルに送って、終わったら迎えに行き待機室に戻す仕事。

電話番は店長(マキシマムザ亮君激似)で、待機室から少し離れた自宅のマンションで客電を取り俺に指示を出す。
で、俺から女の子に電話して詳細を伝え、車に乗ってもらう。

俺のいた店はかなり小さくて、系列店含めても在籍が20人いなかった。
いつも出勤してくれる女の子は5~6人くらい。

俺の仕事には待機室の掃除も含まれてた。
店長がかなり神経質だったので、毎日やってた。
忙しい店ではなかったので、掃除で部屋に行くと女の子が誰かしらいる。

俺は皆と雑談しながら水場綺麗にしたり床拭いたり。

ある日、女の子たちが変なことを言い出した。

「この部屋って何かあったんですか?」って。
理由を聞くと、変なことがあったらしいのだ。

女の子たちがいつものように雑談していると、玄関が開いて閉まる音と、靴を脱ぐ音がした。

待機室の間取りを説明しておく。
玄関を入ってすぐ右手がトイレ風呂。
正面は短い廊下で、すぐ扉がありそこを開けるとワンルームの部屋になっている。
ドア一枚隔てて人の気配がしっかり感じられた。

女の子たちは「俺さんが来た」と言い合っていたが、いつまで経っても入って来ない。
一人の子が見に行ったら誰もいなかった・・・と。

しばらくするとまたガチャ、バタン、ゴソゴソ・・・と聞こえ人の気配がしたので皆で見に行ったが、また誰もいなかったというのだ。

それからまたしばらくして今度は俺が来たのでホッとしたと言っていた。

俺は霊とか信じてなくて、その話を笑い飛ばした。
妙なことで辞められても困るし、笑える話を連発して暗い雰囲気をかき消した。

それから数日は何事もなく過ごしていたが、ある時俺が車で仮眠していたら女の子から電話が来た。

「コンビニから戻ったんだけど、中からチェーン掛かってて入れない!」

聞けば、暇なので連れ立ってコンビニに行き部屋に戻ろうとしたら入れなくなっていると・・・。
そんななわけあるかwと俺は待機室に向かった。

ドアを引くと、ガン!と手応えが。
本当にチェーンがかかっている・・・。

俺は悪戦苦闘して外からチェーンを外して女の子と共に中に入った。

もうやだ!と切れる女の子たちを宥めてたら、ガチャ!バン!・・・カツ・・・カツ・・・ゴソゴソ・・・と、乱暴に玄関を開けて閉めた音、ヒールを脱いで何かしてる人の気配。

気のせいとか上階の音じゃなく、はっきりすぐそばで感じた。

全員叫んだ。

俺はすぐ見に行ったが誰もいない。
また女の子たちが叫ぶ。
さすがの俺も店長に泣きついた。

店長は15分くらいして部屋に来て、物凄く怒りながらそこらじゅうに塩まき散らかして「悪霊退散!はい、これでいい?もうくだらねーことで騒ぐな!」と怒鳴って帰っていった。

それで収まるわけもなく、その後何回も音を聞いたんだが、途中から慣れちゃった
女の子も段々気にしなくなった。

一度だけ、シャワー使ってる音がして怖いと言われて俺も怖かったけど、それから一年くらいでその店は潰れたんだが、いる間に真相解明はできなかった。

ヒールの音から察するに、同業のおねーさんがそこで死んでるとかベタな想像してみたり。

まあデ◯ヘルだといわく付きのホテルに行ったりするから変なもんつけてきてしまったのかもね。