Yが中学生の時、友人たち数人と肝試しに行こうということになったらしい。

Yが住んでいた地域にはちょっとした丘があり、そこは深夜になると街灯もほとんどなく、雰囲気も完璧だった。

その丘の頂上付近はグラウンドで、点々とある街灯が不気味だった。
友人たちで盛り上がりながらグランドに着くと街灯の明かりがちょうど届かなくなったあたりに人影のようなものが見えた。

Yは少し不気味になったが、悪ガキだった友人たちはその人影に向かって叫び始めた。
すると友人の一人Iが小刻みに震え始めた。

Yがどうしたのか?と尋ねるとIは震えながら首を左右に振るだけでなにも答えない。

なんだ?と思いながら人影を観察しているとどうも少しずつこちらに近づいてきている気がする。
不気味になったYは友人たちに声をかけ、丘を降りることにした。

Yたちは丘のふもとに自転車をとめていた。
月明かりだけがたよりの道を歩くのは正直こわかったのでYたちは早足で通り抜けることにした。

しばらく歩いていると急にIが立ち止りトイレに行きたいと言い出した。
グラウンドからすこし下ったところにぽつんと公衆トイレがある。

Iが帰るまで待てないというのでそこにいくことになったが、早く帰りたかったため急いで済ませることにした。

その公衆トイレは感知式の電気で、Yたちが入ると自動的に電気がついた。
しかし入ってみると個室の鍵が1つ閉まっていた。

Yたちが入るまで電気が消えていたのにおかしい、とは思ったがさっさと用を足すことにした。

Iが一息ついたところで帰ろうか、と話していると後ろの個室の鍵がカチャッと開く音がした。

さきほどの人影のこともあり、Yたちは全力疾走で絶叫しながら丘を下って全員無言のまま自転車をこぎ帰宅した

その公衆トイレの個室で翌朝、首つり死体が発見されたらしい。
Yたちが用を足しているときに首つり死体はすでにあったのだろうか?

もしすでに自殺していたなら鍵が開いた音はなんだったのか?

グラウンドの人影は首つり死体とは関係があるのだろうか?
件の公衆トイレはいまだに自殺スポットとして有名らしい。