今の今まですっかり忘れてたんだけど、似た話を読んだらブワーッと記憶が蘇ってきた。
子供がベッドからよく落ちる、って人の話。

俺はよくうなされたり寝ながら愚図ったりする子供だったらしい。

俺が4歳、姉が小学2年生くらいだったある晩。(たしか秋頃だった)
親が二人とも外出して、二人で眠ることになった。(その頃、いつもは俺は親と、姉ちゃんは一人部屋で寝ていた)

お袋が作ってくれた晩飯を温め直して食べ、風呂に入れてもらい、姉ちゃんの部屋に布団を二つ並べて敷いて、寝た。
いつもと違う部屋で眠るので妙な感覚だった。
で、ここからが不意に思い出した記憶。

ばんっ!

そんな音で夜中に目が覚めた。
なんとなく体全体が重苦しい感じがしていた。

今思えば金縛りだったのかもしれない。
隣を見ると、パジャマを着た姉ちゃんが、布団の上に正座をしていた。
カルタ取りのような姿勢で。

それでさっきの音は姉ちゃんが畳を叩いたんだとわかった。
姉ちゃんどうしたの?と聞こうとしたけど、なぜか声が出なかった。

虫でもいたのかな、と、目だけを姉ちゃんの手元(俺の布団の枕元)を首だけ動かして見た。

姉ちゃんの手のそばに、小人がいた。

今でもはっきり目に焼き付いてるんだけど、ひょろっとしてて、大きさは10センチ位(当時の姉の手と比較して)
豆電球の薄暗がりの中で、白っぽい色をしていて、全身タイツみたいな質感だった。

顔は普通のおっさんだったように思う。
少し外人ぽいというか、濃ゆい顔で、表情は影がついてよく見えなかった。

次の瞬間、ばばんっ!と姉ちゃんの手が動いた。
素早く二回叩いた音だった。
めちゃくちゃ早かった。

びっくりして姉ちゃんの顔を見上げた。

姉ちゃんは、すっと普通の正座の姿勢になり、「忘れなさい」とだけ言った。
有無を言わせぬ迫力があった。

俺は「はい」と返事をして、そのまま布団をかぶり直して寝た。
その後は、うなされることもなく無事に成長し、今に至る。

あの小人はなんだったのか姉ちゃんに聞いてみたいけど、「忘れなさい」って言われたことを思い出して聞いたりしたら怒られそうでなんかやだな。

寝てる枕元に小人が来るってよくある話なん?