大学の時、一週間ほどの予定で山篭りに行った。

4日目にお堂を見つけて勝手に一晩明かした。

深夜。
目を瞑っているがまだ寝付いてはいない。

そんな時、自分の周りを数十人の年寄りが正座して車座になって取り囲んでいる場面がなぜだかフッと頭をよぎった。

空想?
いや、違う!

確実に何かボソボソ呟いている声が聴こえる。
この嫌な予兆を振り払う為に精一杯の勇気を持って目を開けた。

無表情な無数の年寄りの顔が一斉に俺を覗き込んでいた。

気が付くと朝。
勿論自分一人きり。
悪い夢だと思うことにした。

それでも恐怖のあまり早々に下山してしまった。