トンネルなら俺もある。

実際には俺の友達なんだけど、丹沢湖に原付でツーリングに行った時に湖の周りをレースみたいにぐるぐる走っていたら、ちょっとはずれた所に古ーい汚いトンネルをみつけた。

見るからに気持ち悪く“出そう”だったが、友人と記念に入ろうということになり原付で入っていった。

中は暗く路面は悪く運転に気を使って走っていくと出口に付いた。
ほんの50m位の短いトンネルで出口の先は行き止まりで林になっていた記憶がある。

早く出たかった俺は先頭に立ち友人をバックミラーで確認した後、いちもくさんに戻った。
なんとか転けずに出た俺は安心感からか出口でたばこを吸いながら待っていた。

だが友達は出てこない。
おかしいなと思いながらたばこを吸い終わる。
しかし出てこない。

あーそうか脅かそうと思ってるなあいつ!?と、考えた俺はそのまま意地になってそこにいた。

20分くらい経ったろうか、いいかげんキレた俺はトンネルに向かって友人の名前を怒鳴り散らした。

そしたら10mくらい入ったところに急にライトが見えた。
エンジン音も聞こえ青い顔した友人がでてきた。

話を聞くと俺の後ろに付いて戻ろうとしたら急にエンジンが止まり、電気もつかなくなった。

慌てた友人は必死にキックでかけようとしたが掛からない。
で、バイクを押して戻ることにして必死に歩いたがちっとも出口が見えない。
気が狂いそうになり俺の名前を何回も叫んだそうだ。(もちろん待ってた俺は聞いてない)

そのうち足が重くなり、金縛り見たいになって動けなくなった。
でもう駄目だと本気で考えた時、俺の声が聞こえて急に体とバイクが動くようになったと泣きながら話した。
事実友人の声は枯れていてとても嘘とは思えなかった。

後日友人はお前があのとき呼んでくれなかったらシャレにならなかっただろうなーと漏らしてました。