ある日、学校から家に帰ると母が探し物をしていた。
なんだか切羽詰った様子。
声をかけてみると不思議な話をする。
母「今日来た人がねぇ、うちに人を切った刀があるって言うのよ。よくないって言うんでね」
その日は近所の親戚の家にイタコ関係?の人が遊びに来ていて、どうも気になるからとウチに寄ったらしい。
拝み屋やらイタコやらがごく普通の田舎なのだ。
人を切った刀があったとしても、刀は人を切るために作られたわけだし、いまさら何を・・・と生意気な中学生だった私は顔をしかめたが、イタコパワーの凄さをよく知っていたため放ってもおけない。
母と一緒に探そうとして、ふと思い出した。
なんだか切羽詰った様子。
声をかけてみると不思議な話をする。
母「今日来た人がねぇ、うちに人を切った刀があるって言うのよ。よくないって言うんでね」
その日は近所の親戚の家にイタコ関係?の人が遊びに来ていて、どうも気になるからとウチに寄ったらしい。
拝み屋やらイタコやらがごく普通の田舎なのだ。
人を切った刀があったとしても、刀は人を切るために作られたわけだし、いまさら何を・・・と生意気な中学生だった私は顔をしかめたが、イタコパワーの凄さをよく知っていたため放ってもおけない。
母と一緒に探そうとして、ふと思い出した。
子供の頃住んでいた古い家の床の間に、なぜか抜けない刀が立てかけられていたのだ。
何度か鞘から抜こうとしたがびくともしないものだった。
そのうち、かっこいいニセ刀を京都みやげにもらったので、役に立たない刀などには興味が失せ、そのまま忘れていた。
俺「もしかして・・・床の間にあった抜けないやつのこと?」
母「そうそう、言われてピンときてね。でも、無いんだよ。引っ越しの時も持ってきたはずなのに」
その刀は祖父が土建屋へアルバイト?へ行った時、穴を掘ったら現場から出てきたので持ち帰ってきたものらしい。
関西方面ならいざしらず、どうしてこんな長年だいたい平和だったところで、簡単に刀なんか出るのかと疑問に思う。
たしかに県内には古戦場があるが、戦国時代より前のものだ。
よく覚えてはいないが、手に取るのをためらうような汚さでもなかったと思うから、そんなに古い刀のはずがない。
きっと誰かがおみやげの刀をそのままにして家を解体したから、掘ったら出てきちゃったやつなんだ、イタコのやつ・・・と考えたが気になったので、もうヨレヨレしていた祖父にどこの工事現場から持ち帰ったのか聞いてみた。
・・・古戦場付近だった。
結局その日は刀が見つからず、しばらくのあいだ忘れた。
私が高校生になったころだった。
家に帰ると、なにやら妙な雰囲気。
仏壇やら床の間やら神棚などに、やたらに果物やら菓子やらお供えが多い。
誰か来たのかと母にたずねると、イタコが来たと言う。(ちなみにうちの地方では、恐山のイタコではない拝み屋などもイタコと言う)
話を聞くと、すっかり忘れていた例の刀の件だった。
何年か前と同じイタコが、また近所の親類の家に遊びに来たらしい。
それで「なんだ?あの家、刀のパワーが増幅している!」と慌てて来たようだ。
イタコは開口一番「なんか始めたか?」と母を問い詰めたという。
というのも、母もちょっとそういうケのある人なのだ。
「◯◯さん(近所の老人、入院中)が朝方あいさつに来たから、(通夜の手伝いで)今日は忙しいだろう」などと何気なく言って、それが本当になることなどが日常茶飯事だった。
そんな母のプチ霊能をなんとなく分かっていたイタコは、刀の増幅パワーの源は、怪しげな新興宗教やら拝み屋やらを母が始めたせいではないかと疑ったのである。
そんな嫌なかんじのパワーだったのだろう。
もちろん、母はそんなこと始めていない。
母は気味が悪くなり、たまたま家にいた父をつかまえて例の刀の件を話した。
父はその方面のことを嫌うので、前に刀の件を指摘された時には話していなかったのだ。
話を聞いた父は、「ああ、それだったら錆びてたから磨いて小屋に入れてあるよ」と。
・・・そのせいだった。
んで、なんだかお祓いのようなことをしたらしい。
例の刀はイタコがどこかへ持って行ったそうである。
その刀がなにか悪さをしたかといえば、思い当たらない。
ただ、後から思えばだが、そのころ母のプチ霊能がMAXだったように思える。
朝起きると「昨日は3人に押さえられた」だの、「下から来ただの右から来た」だの「坊主が出た」だの、やけにうるさかった覚えがある。
祖父がいかにも気味の悪い刀を持ち帰った理由をイタコが語ったようなので書きます。
前世、うちの祖父と母は敵対する武将同士だったらしい。
まあ現世では仲良くしろ、というわけで母が嫁に来て一緒に暮らす運命に。
同じ家にかつての敵がいるというわけで、祖父は無意識でいつも合戦に備えていたのだという。
庭に祖父が大きな石を無意味に積み上げた一角があったのだが、それもそんな備え(バリケード?)だとの話。
ホントかウソかは誰も分からないが・・・。
何度か鞘から抜こうとしたがびくともしないものだった。
そのうち、かっこいいニセ刀を京都みやげにもらったので、役に立たない刀などには興味が失せ、そのまま忘れていた。
俺「もしかして・・・床の間にあった抜けないやつのこと?」
母「そうそう、言われてピンときてね。でも、無いんだよ。引っ越しの時も持ってきたはずなのに」
その刀は祖父が土建屋へアルバイト?へ行った時、穴を掘ったら現場から出てきたので持ち帰ってきたものらしい。
関西方面ならいざしらず、どうしてこんな長年だいたい平和だったところで、簡単に刀なんか出るのかと疑問に思う。
たしかに県内には古戦場があるが、戦国時代より前のものだ。
よく覚えてはいないが、手に取るのをためらうような汚さでもなかったと思うから、そんなに古い刀のはずがない。
きっと誰かがおみやげの刀をそのままにして家を解体したから、掘ったら出てきちゃったやつなんだ、イタコのやつ・・・と考えたが気になったので、もうヨレヨレしていた祖父にどこの工事現場から持ち帰ったのか聞いてみた。
・・・古戦場付近だった。
結局その日は刀が見つからず、しばらくのあいだ忘れた。
私が高校生になったころだった。
家に帰ると、なにやら妙な雰囲気。
仏壇やら床の間やら神棚などに、やたらに果物やら菓子やらお供えが多い。
誰か来たのかと母にたずねると、イタコが来たと言う。(ちなみにうちの地方では、恐山のイタコではない拝み屋などもイタコと言う)
話を聞くと、すっかり忘れていた例の刀の件だった。
何年か前と同じイタコが、また近所の親類の家に遊びに来たらしい。
それで「なんだ?あの家、刀のパワーが増幅している!」と慌てて来たようだ。
イタコは開口一番「なんか始めたか?」と母を問い詰めたという。
というのも、母もちょっとそういうケのある人なのだ。
「◯◯さん(近所の老人、入院中)が朝方あいさつに来たから、(通夜の手伝いで)今日は忙しいだろう」などと何気なく言って、それが本当になることなどが日常茶飯事だった。
そんな母のプチ霊能をなんとなく分かっていたイタコは、刀の増幅パワーの源は、怪しげな新興宗教やら拝み屋やらを母が始めたせいではないかと疑ったのである。
そんな嫌なかんじのパワーだったのだろう。
もちろん、母はそんなこと始めていない。
母は気味が悪くなり、たまたま家にいた父をつかまえて例の刀の件を話した。
父はその方面のことを嫌うので、前に刀の件を指摘された時には話していなかったのだ。
話を聞いた父は、「ああ、それだったら錆びてたから磨いて小屋に入れてあるよ」と。
・・・そのせいだった。
んで、なんだかお祓いのようなことをしたらしい。
例の刀はイタコがどこかへ持って行ったそうである。
その刀がなにか悪さをしたかといえば、思い当たらない。
ただ、後から思えばだが、そのころ母のプチ霊能がMAXだったように思える。
朝起きると「昨日は3人に押さえられた」だの、「下から来ただの右から来た」だの「坊主が出た」だの、やけにうるさかった覚えがある。
祖父がいかにも気味の悪い刀を持ち帰った理由をイタコが語ったようなので書きます。
前世、うちの祖父と母は敵対する武将同士だったらしい。
まあ現世では仲良くしろ、というわけで母が嫁に来て一緒に暮らす運命に。
同じ家にかつての敵がいるというわけで、祖父は無意識でいつも合戦に備えていたのだという。
庭に祖父が大きな石を無意味に積み上げた一角があったのだが、それもそんな備え(バリケード?)だとの話。
ホントかウソかは誰も分からないが・・・。
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