一般家庭での音の録音にカセットテープしかなかった1970年頃の話。

中学の友達から南米かどこかのレゲエっぽい曲を借りて、自分としては新鮮に感じたんで、S社のカセットテープを買って来てダビングしたんだ。

んで毎日繰り返し聞いてたんだけど(最初は何も問題なかった)、1週間過ぎた頃から、ところどころ音がビヨーン、ビヨーンと伸び始めた。
それがだんだん酷くなって、2週間もすると曲全体がビロビロのウォンウォン。
集団で読経か呪文唱えてるみたいな感じで、時々「オォッ!」というような男の叫び声も入る。

環境的にはまったく問題のない保管方法だったので、怖くなって学校に持って行って皆に聞かせたら阿鼻叫喚。

「そんなの持ってないほうがいい!」

「お祓いに行け!」

そう言われたけど、お祓いするお金を持っていなかった私は「不良品だ、原因究明して説明を乞う」的な手紙をつけて現物をS社に送り付けた。

S社からは「原因不明」という回答とともに、お詫びに新品のテープが送られてきたわ。

今から思うと、S社のエンジニアはどんな顔して聞いたのかなと可笑しくなる。

S社に送り付けた頃は音が伸び切ってて、30分テープに35分くらい音が入ってたからね。