今から約20年くらい前に長野の蓼科でリゾートバイトしてたときのこと。

冬場になると通行止めになる山道があるような場所。
当時麓のホテルで飲食従事してたんだが、ある日自分が最後で〆の作業をしていた時に、さて帰ろうと思ってバックカントリーを振り向くと男の人が立っていた。

その日は宿泊客もいないので誰だ!?と瞬いた時にはいなかった。

一瞬のことで店内にはすでに自分しかいなかったので気のせいか?と思いながらもかなり怖かった。
帰りは軽トラで近くの寮まで帰るのだが、よくある怪談でバックミラーに人影が!とかあるのを思い出し怖くて見れなかったのを覚えている。

冬場だったので寮までは約10分ほどの雪道を行くのだが、途中ほぼ街灯すらない田舎道で普段は気にならないがかなり怖かった。
とはいえいい加減気のせいだななどと思い始めた頃に寮が見えてきた。

そこでふと気になったのだが、右のサイドミラーに雪が白く反射していた。
前述したように街灯がない道だ。
バックミラーも左サイドミラーも真っ黒なのだが、なぜか目の端に写る右のサイドミラーだけは白くなっていた。

最初はあまり気にならなかったが、その事実に気づいた時に急激な恐怖がぶり返してきた。
とにかく見ないように努めて寮の入口ギリギリまで車を停めて逃げるように転がり込んだ。

寮は入ってすぐにリクリエーションルームのようなリビングがあり、だいたいバイト達はここで集まっては毎日宴会だった。
その日も一人テレビを観てるバイトがいたので、そそくさとそいつの隣に座り込んだ。
様子がおかしかったらしく、だいぶ訝しがられたが・・・。

自分でも信じられないし、特に実害があったわけでもないので誤魔化しつつ自分もテレビに見入った。

長野出身の人なら知ってるかもしれないが、当時「故郷の水を大切に」みたいなCMがよく流れていた。その時もちょうどそのCMが流れ始めたのだが、唐突に画像がぶれて、音声にノイズが入り出した。
アンテナの調子が悪いのか等とバイトは言っていて、自分もそれに同調したのだが、内心すでに気が気ではなかった。
その直後、今度はリビングの窓ガラスが強風に煽られたようにガタガタと揺れ始めた。

これにはバイトもビックリしていたが、自分はもうそれどころではなかった。
とその時、ホテルで入浴していたらしい他のバイト達がドヤドヤと帰ってきた。
窓ガラスが揺れていたのは気づかなかったらしい。
様子がおかしい自分達二人を見て、興味をもったみたいだった

一人は疲れたから寝ると自室に帰ったが、残った者達には堪えきれずその日体験した出来事を伝えた。
茶化した者もいたが、皆怖くなったみたいでその日は皆でリビングで雑魚寝した。

で、翌日なんだが、一人自室に帰った者だけが体調を崩し、結果、入院することになった。
諏訪総合病院で簡易検査もしたのだが原因不明のウィルスということだった。
これは今でも謎のままだ。
後日地元の消防団が来店した際にちょっとした小話としてこの話をした折り奇妙な偶然の一致を聞いた。

自分が見たという男の身成を聞いてきたので素直に話たら、絶対あの人だ!というので詳しく聞いたところ、前年の冬に通行止めの山道で自殺した男性に姿形がそっくりだという。
あとで聞いた話なんだが、その山道では毎年自殺者が出ているらしい。

幽霊等と言うものがいるかどうかはまだ不明だが、少なくともなんの前知識もない自分がみた男性の幻?と前年の自殺者の身体的特長が一致したのは不思議だなと・・・。