漫画や小説やドラマの話じゃなくリアルなんだけど・・・。
小学生の頃に同居してた祖母が死んだ。

うちの実家はかなり田舎で、小さな個人経営の病院は何軒かあるけど、ある程度大きな病院は市立の1軒だけしかない。
それもまぁ、大きいと言ってもはっきり言って中規模以下。
だけど、それが町一番の病院だから、そこで助からなかったら「もうムリね」って諦めてた時代だった。

で、祖母は長いこと癌を患っていて、自分が小さな頃からその市立病院に入退院を繰り返してた。
その入退院を繰り返してる間に、理由はわからないけど、循環器のDrと喧嘩だか揉め事だかを起こしたらしい。

祖母に原因があったかどうかはわからんが、昔の小さな田舎町ではDr.は神みたいな存在だったんだよ。
ほんの少しの口答えも許されないし、疑問を聞いただけで不機嫌になるような。

実際に自分も中学生のころ病院に行った時「風邪ひいたみたいです」って言っただけで「俺がみていないのになぜ風邪だとわかるんだ!あぁん!?」みたいな説教をくらったことがあるしな。

んで祖母は、一緒に住んでいた家族に「自分が意識不明とかになったら隣町の病院に連れて行ってくれ」って言ってたんだ。

そしてある日、大量の血を上からと下から出して倒れた。
救急車で運ばれた病院は隣町じゃなくうちの町の市立病院。
しかも循環器科。

自分は「おばあちゃんは隣町に行きたがってた!」って何回も親に訴えたけど、実際問題として隣町の病院に転院とかは無理な話だったんだ。

隣町と言っても遠いし、バスは1日何本かしかないし電車は1時間に1本だし、車の免許持ってる親父は単身赴任だし、母ちゃんは車の運転できない上に子ども3人抱えてたしな。隣町じゃ見舞いにも行けない、付き添いもできない。

両親は「いくら言い合いしたからと言って、医者が患者を見捨てるわけがない」って言って、市立病院に入院させた。

で、祖母は意識を取り戻したけど、飲食禁止になった。

輸液で水分も栄養も入ってるから身体的にはそれで生きていけるんだけど、どうしても我慢できないのが口の渇きなんだよ。

ずっと「水が欲しい」って言ってた。

「もう死んでもいいから一口だけでも水を飲ませて」って言ってた。

だけどDr.からは「水を飲ませたらまた出血が始まって死にますよ」とか家族は言われてて、絶対に水をあげなかった。

祖母は「水が欲しい」を言い続けて結局は入院から半月で死んだ。

家族としては、どうせ半月で死ぬんだったら水を飲ませてあげたかったって当時は悔やんだんだけどさ、まぁそれは死んじゃったからわかったことで、悔やんでもね。

たださ、自分は今、医療関係の仕事をしてるんだけどね。
たしかに絶飲の場合は多々あるんだけど、それにしても氷を口に含ませるとか唇を濡らすとか口腔内を湿らすとか方法はあるんだ。
その方法を病院は一切してくれなかったんだ。
家族にもそういう方法を教えてくれなかった。

これってやっぱDr.の恨みなのかなって思ってる。

それと、自分は知らなかったんだけど、母親と祖母は当時仲が悪かった(嫁イビリとかを祖母がしてた)らしいってのをこの正月に帰省してご近所さんから聞いて知った。
終わり