当時11歳だった私自身の体験です。

ある休日、図書館で一人、読者をしていました。

一冊を読み終え、本を替えようと思い、棚に移動して別な本を探していると、私の向かい、反対側の棚の人と目が合いました。

咄嗟に目を反らしましたが、感光したように鮮明に捉えてしまいました。
同じくらいの学年の女の子です。

私が本探しを続けていると、その子の辺りから「ミズ・・・アツイ・・・アツイ・・・オカアサン」と、蚊の鳴くような声が聞こえました。

反射的に逃げましたが、冷静さを取り戻すと途中で引き返し、その子の居た場所へ戻ってみました。

その子が見ていた棚には、「原爆忌」「広島長崎・・・」といった書籍が整列していました。
ふと出口に目をやると、その子がゆっくり出ていくのが見えました。

※先日の終戦記念日に思い出しましたので、書いてみました。