あれは数年前、まだ私が就職してすぐの頃のことでした。

初めての社会人経験の中、仕事で失敗ばかりしていた私は、その日も酷く落ち込みながら自宅への帰路につきました。

当時、自分の乗換駅は秋葉原でした。
総武線のホームから山手線のホームに下りる時、急に『死んでしまえば楽になるかも・・・』と不穏な考えが頭をよぎりました。

すると、不思議なことに山手線のホームで後ろから私の背中を押すモノがいたのです。

勿論目には見えません。

広場が見えるホームの縁に向かって、2、3歩よろけるように私は進みました。

あ、落ちる。
落ちたら痛いな。

そう思った時その力は消えました。

あれはあの世に連れていこうとする力だったのか?
死にたいなんて考えてはいけないと教えてくれた力だったのか・・・今でも不思議です。