個人的には修羅場じゃないけど大家さんが修羅場った話。

大学生の頃、同じ学科の友人(今後Aと表記)が大学の自治会という胡散臭い団体に入っていた。

どんな活動をしている団体なのか不明で、俺はいまだによく知らない。

Aがそこの入った経緯も知らないが、授業中「活動が大変。なんで大学まで我慢して勉強してきたのに俺だけこんな目に遭うんだ」などと愚痴っていた。

Aは男子だけの進学校出身で中学高校とほとんど遊ぶことなく勉強に邁進して入ってきた学生の鑑のようなやつだったが、その分大学に入ったら思いっきり女と遊べると思っていたらしい。

10月の学祭の前後からAは傍から見てもすぐに分かるくらい暗い表情になりそのまま消息不明になった。

同じ学科の人間数名がAの様子がおかしいと思っていたが、もう大学生だからとしばらくアクション取らなかった。

一週間くらい経過してさすがにおかしいと思い、俺と友人BとでAの下宿先(アパート)に訪問した。

当然のように鍵が掛かっていたが悪臭が漂っている。
隣の部屋から苦情が出ないのが不思議なくらい。

すぐに大家さん(四十くらい?のおばさん)に連絡を取り事情を説明したが、本人の同意が無いと勝手に入れないとのこと。

ただ臭いが強烈なので緊急事態と判断し頼みこんで扉を開けてもらった。

当然というか中に入るのは大家さんのみで俺とBは扉の前で待機だ。
で、大家さんが入った瞬間、腐臭が一気に強くなりすぐに大家さんの悲鳴でBと一緒に部屋に飛び込んだら、床の上に首が無い人の身体が横たわっていてそのすぐ傍で大家さんが絶叫。

上を見たらロフトから首吊りで使うような縄がぶら下がっている。

よく見たら床に横たわる身体から数メートル先の窓際にAの首から上の部分が転がっていた。

慌てて警察に連絡してもらい、その後事情聴取等で警察で一泊する羽目になった。

俺もBも大して動揺していなかった(自殺は予想していた)のでまだましだったが、大家さんには首がちぎれた死体が無茶苦茶トラウマだったみたいで警察が来た瞬間に気を失い倒れてしまった。

まあ俺に出来ることは無いので大家さんの処置は全て警察に任せたが、首吊り死体が自分の体重で首の部分が千切れてしまうの初めて知ったよ。

やっぱりあまり修羅場でもないかもしれないが、大家さんには修羅場だったろうね。