いつものことだが、ワシは変な能力???があるらしい。

ワシの身近な人限定だが、死ぬのが分かっちまう。
時刻までほぼ、正確。
別に霊視などではなく。

何が変わっているかと言えば、死ぬ人の痛さを体感するんだよ。
自分に身近であればあるほど(親族となれば更に)その人の患っておる箇所が
ある日前触れもなく痛くなる。
痛い部分から思い当たる人を探したりするもんだが。
長ければ長いほど、激痛であればあるほど、大体血族や身近すぎる人が逝ってしまう。

その痛さが突然なくなると、大体その後、「◯◯さんが亡くなったから」という連絡や翌日、葬儀の知らせのFAXが届く。

実は今、その状態が終わった。

親父が事業やってて付き合いの長かった取引先の社長が亡くなった。
恐らく死亡時刻は14:15分頃だろうと思う。(詳しいことは明日葬儀で分かるだろう)
それは、その時に体がすっと楽になったから。

この数日間、体が重く、すぐに眠くなったり、倦怠感が酷かった。
ワシの体ではない何かの「知らせ」らしいと思っていたが・・・。
誰だろう・・・って思っていたら、今日、突然すっと軽くなった。

なかなか、人が逝くのが分かるのは辛い。
個人的に言えば、そいつの死因や死ぬまでの痛さを同じく体感するのは非常にキツイ。

とにかく今日からは通常に戻れる。
不謹慎かも知れないが、こんな訳の分からぬ能力って何だろ。

生きている人でもそうだが、そいつに触れると大体移る。

ほとんどが肉体が訴えている痛さをそのまま受け取ってしまう。
最近は右肩があがらない。
右手の指が曲がってきた。
あまりの痛さで病院にいき、レントゲン取ると確かに親指が曲がってますねってさ。

腱鞘炎がこの近日中で悪化するということは考えにくいが・・・。

ワシの体は元気だが、誰か知らないが、そいつが勝手に移しているだけ。
誰だよ、右手痛いっていってる奴は。
その痛さが全部移るんだからさぁー。
さっさと治してくれ。
だから握手などできない。
移るし・・・。
もう体もたねーよ。

この変な(あまり歓迎できない)能力はワシのばあさんが死んでから身に付いた。

うちのばあさんはそもそもそっちの方に強いらしく、「◯◯(←ワシ)、玄関にお坊さんが3人いるから挨拶しておいで」って行ってみたがいないわけ。

ワシも「ばあちゃんおかしい」「とうとう逝ったか?」と小さいながら思っていたが、今思えば、ばあさんは不思議な能力持っていた。

そんなばあさんが入院し1年後死ぬが、死ぬ1ヶ月前に夢に出てきた。
それはワシが思うに「あの世」ってやつだったと思う。

ワシはばあさんと2人して足元が真っ白、川の向こうも真っ白の世界にいた。
で、川に赤い太鼓橋が何本も無数にかかっている。
川幅は大体100~200m弱くらい。
向こう岸に誰かいるのが見える程度。

何人もの人が、自分に割り当てられた赤い橋をわたっている。
ちゃんと自分のわたる橋があるのには驚いた。
ばあさんに聞いた。

「今は船じゃないんだ」とワシ。

「今は時代が進んどるけん(方言)」とばあさん。

ワシ納得。

ワシは一緒に渡る予定でいた。
一人でその橋を渡らせるにはなかなか足の悪いばあさんにはきついだろうと。思ったが、「ここから先はお前は渡ったらいかんとたい(方言)」と言い、ワシに手を振り「あとは頼んだけん(方言)」と言い残し向こう岸で待っている人のところへゆっくり歩いていった。

向こう岸にたどりついたばあさんは向こうの人と会って数人でこっちに向って叫んでいた。

「◯◯(←ワシの名前)」

ワシはそこで目が覚めた。

それからだと思われる。
変な能力が付いたのは。

始めの方は何がなんだか訳が分からなかった。
風邪でもないのに体が突然重くなる。

突然、その重さが抜ける。
しかし、その後必ず誰かが死んでいる。

時刻聞けば、ほぼ同じ。
ばあさんもそんな力があったらしいが、それが移っただけかもしれない。
それはワシにもよく分からぬ。

ワシがばあちゃん子だったのもあるかも知れぬが・・・。
周りの奴からは「役に立たね~能力」と言われている。

しかし、ワシは「赤い太鼓橋までの案内人」と思っている。

これで得したとこなどは全くナイが・・・。