山陰地方だけど、米を作ると廃人が出る田がある。
被害に遭うのは地区内にいる田の所有者の血縁者のみ。

若い者ばかり皆精神を病む。
稲は必ず植えなければならないが、稲刈りをしてはならない。
春には枯れた稲を田にかき込む。

俺が小学生のころ、所有者が田の一角で赤米を作って収穫した。

その年の冬、高校生の兄妹が二人いっぺんにおかしくなった。
所有者の本家筋の長男長女だった。

山すそを開いて無理やり作ったいびつな田だから、毎年手間がかかって仕方がないようだ。

理由を知ってただろう地区の長老は、田植えを忘れないことだけを言い残して鬼籍に入った。